あの時…
私が家にケータイを忘れちゃって、誘拐犯に殴られたりした時のことだ…


「しかし…私よりレン様に助けていただいた方がお嬢様はお喜びになる…

誘拐犯を追い払ってからそう考えた私は…静かにその場を後にしました」

すると、ピエールは急にベンチから降り、ひざをついた。

「嘘をついていたこと…心よりお詫び申し上げます!」

「ピッ、ピエール!いいよ、謝らないで!」

私もピエールと同じ目線になるようひざをついた。

「私、ピエールとかレンとか比較なんてしないよ?
誰にしたって私を助けてくれたことに変わりはないんだから、私はたとえその人が偉い人でも悪魔でも、同じように感謝する」

私はそっとピエールの手を握った。

「だからピエール、私を助けてくれてありがとう!」