「おっはよー!!」
知らない間に陽は昇り、仕方なくいつものように大学へ行く。
「あ、綾…」
「ってちょっとあんた!
そんなの見せつけないでよ!
ノロケかあ?!」
綾は私を肘でつつく。
いったい、何を言っているんだろう。
「何…言ってるの?」
そう首を傾げると綾は私の首に触れた。
「キスマーク、付いてますよ?」
ニヤッと笑う綾。
私は急いで鞄の中から手鏡を取り出すと綾が触れた場所を見る。
そこにはくっきりと残された奥寺さんの跡。
昨日、鏡を見たときには気づかなかった。
でもこんな目立つところに付けるなんて…
「よっぽど奥寺さんに愛されてるんだね?
俺だけのすみれだぞ、って感じの跡だわ、これは。」
何も知らない綾はケラケラと笑う。
私は必死でその跡を隠そうとする。
奥寺さん…ヒドイよ。
どうして…こんなこと、したんですか?