『おう、タツ』


奥から顔を出したのはマスター


そしてマスターの顔を見て


『タツ』

と、言ったのは泉さん。



「お二人って…知り合いだったんですか!?」


驚く私に2人とも笑う。



『僕の友だちのタツ。

コイツに頼まれちゃってさ。』


『僕なんて言って真面目ぶってんじゃねーよ』


『うるせぇー』


2人はそう言いながらじゃれ合う。



『ごゆっくり。すみれさん』


マスターはそう言うと違うお客さんのところへ行く。



『ここは、俺とタツが大学時代バイトしてたバーなんです。

でもそのときのマスターが引退する、って言って。


結局そのときバイトしてたタツに店を任せたんです。

で、最近人手不足で。


仕方なしに無料で手伝ってやってるんです』


この話でさっきのマスターの言葉の意味が分かった。


『久しぶりの仕事はどーだ?』


泉さんは前、バーテンダーさんだったんだ。



にしても、新鮮だった。

泉さんの『俺』は。