『ううん、なんでもないよ。
じゃあ…気を付けて帰ってね。
ごめんね?今日は送って行けなくて。』
「それじゃあ…また。」
私は奥寺さんに背を向けて歩き出す。
なんか…おかしい。
いつもなら送ってくれる奥寺さんが送ってくれない。
もしかしたら…怒ってる?
私は携帯を開き、メールを打つ。
「今日はごめんなさい
また、逢ってくれますか?」
でも送信ボタンを押すのはやめた。
だって…もしかしたら、別れるチャンスかもしれないから。
自分から別れを切り出せないなら、
いっそのこと、フラれたほうがいい。
私はそんなことを思いながら家へ帰ろうと思った。
でも…足が意志とは違う方向へ向いて歩いて行く。
『こんばんわ~』
………来ちゃった。
来ちゃったよ…ここ。
『あれ?すみれさん?』