「じゃ、また。」
私はそう言って奥寺さんのところへ行く。
『あのバーテンさん、知り合いだった?』
「図書館の司書さんなんです」
それだけ答えカクテルを飲む私。
チラッと泉さんを見ると30歳くらいの綺麗な女の人と楽しそうに話していて。
図書館での泉さんとは雰囲気から何からして全然違う。
きっと…アレのせいだ。
『メガネ』
いつもはメガネをかけてるのに今日はかけてない。
メガネで人はあんなにも変わるんだと、
改めて感じる。
『まさか…俺がいるのに浮気かい?』
へ?と、ヘンな声が出る。
奥寺さんのほうを見ると笑っていて。
冗談なんだと気づく私。
「まさか!私は奥寺さんだけですよ?」
『だといいけどね~』
なんて言いながらお酒を飲む。
その間も気になる泉さんの存在。
たまに送られてくる泉さんからの視線。
そしてドキドキと鳴る私の心臓。
奥寺さんといるとき、こんなにもドキドキしないのに
泉さんがいることを思うとなぜかドキドキしてしまう。
今日はイヤだ。
奥寺さんと…寝たくない。