「ごめん、本当に悪いんだけど…ちょっと寝るわ」

三つ子を家に連れて帰って来てすぐに、俺はそう言った。

レースから帰って来て、寝不足のまま仕事をして、ようやく定休日が退院の日。

…歳なのかな。

去年までだったら限界を感じなかったのに。

「お風呂に入れる時に起こして」

と、真由に言ってすぐにベッドに入った。





「相当、疲れてるんだろうな」

祥太郎はぐずり始めた桜を抱いてあやしながら真由に言った。

「うん、色々あったみたいだし、やっぱりライダーとしてレースに出るのとチームの監督として参加するのとではかなり違うだろうしね。
大変だと思うよ」

真由はキッチンでお茶の準備をしながら言った。

「ま、俺としては…」

祥太郎は天を仰いだ。

「そーちゃんが監督してくれてるから安心して走れるんだけどね」

「その言葉、本人に言ってあげてよ。
かなり励みになるから」

真由が突っ込むと

「恥ずかしくて言えない」

祥太郎は照れながら桜の背中を撫でていた。



お茶とお菓子を祥太郎と睦海に出してから真由はそっと寝室に入る。

案の定、疲れきっていた俺は布団をかけていなくて真由がかけにきてくれていた。



「お疲れ様」

その言葉と額に柔らかい感触があった気がしたけど。

俺は心地良い眠りに引き込まれていった。

しばしの休息。