「この前の電話から思ってたんだけどね」

唇を離した真由は何だか嬉しそうに俺を見つめる。

「そーちゃんがようやく私に本音を言ってくれるようになった気がする。
電話をくれて、私を必要としてくれたのも嬉しかったし、今も自分が心の底に溜めていたものを吐き出してくれた」

真由はそう言ってニコニコ笑っている。

「ありがとう、そーちゃん」



今まで、弱音を吐く事は絶対に真由の前ではしたくなかった。

だから誤解も多かったけど。

これで少しは前進出来るだろう。

少しずつ、自分の中にある仮面が剥がされていっている気がした。



「こちらこそ、ありがとう、真由」

真由の体を引き寄せて抱きしめる。

この温かさが堪らない。

俺のどこか冷めた心の氷が溶かされるような感じがした。