「パバー」

待合室で睦海はやたらと俺に纏わり付く。

あまりにも落ち着かないので俺は睦海を抱いて膝の上に座らせた。

「…手が震えてるよ?」

睦海の小さな手の平が俺の手の甲に触れた。

「そうだね」

そう言うけど、睦海は不安そうに俺を見上げる。

「ママは強いから大丈夫」

睦海は俺の耳元に手を置いてコソッと呟いた。

周りに聞こえないように…

「…うん、そうだね」

俺はギュッと睦海を抱きしめた。



やがて、ドアが開き…

俺と睦海はNICUに向かった。