「そーちゃん!」

ピットに戻って来た俺に抱き着いたのは真由。

「何かあったらどうしようって思ったよ〜」

「…ごめん」

俺は真由の頭を撫でた。

そして賢司さんの元へ向かって頭を下げる。

「すみませんでした」

マシンを大破してしまった。

俺は思わずため息をつく。

「そーが無事なら、それでいいよ」

肩を叩いた賢司さんはスタスタと歩いてマシンに向かった。

本当に無惨に大破したマシン。

周りはよく無事だったね、と声をかけてくれる。

「絶対に優勝するって思っていたよ」

とは祥太郎。

「お客さんも大興奮だったよ」

祥太郎がチラッと送った視線の先には。

通路で俺が出てくるのを待っているファンの人達だった。

「挨拶しておいでよ」

祥太郎が俺の背中を押す。

ファンの人達の反応が怖かったけど。

みんな俺が無事という事を喜んでくれた。



そして中に戻ると

「そーちゃん、お疲れ様〜!」

真由がいきなり頬にキスをしてきた。

動揺する俺を見て祥太郎が笑って睦海を抱き上げ、

「ここはやっぱり、両手に花、でしょう」

と睦海にまでキスをさせた。



顔が赤くなる俺を見て、周りが笑い転げる。



こうして、このシーズンは終了した。