「ふーん…。俺ならきっともっと走りたいな」

俺の話を聞いた祥太郎は納得いかない様子だった。

「そーちゃん、世界に行ける力があるのに…」

「俺は…!」

世界、の言葉を聞いて思わず声を大きくしてしまった。

話を聞いていたお客さんがビクッとしたので慌てて手を合わせる。

「俺はつい1年前までは世界なんて見えていない、周りより少しだけ早いライダーだったんだ。
しかもこの歳から世界は正直、キツイ。
世界を目指すのは祥太郎、お前だよ」

俺はそう言って再び書類に目を通した。