悔いがなかった、と言えば嘘になる。

自分が出来る事を精一杯した結果、チャンピオンになれた。

けれど。

お店の事もあったし、拓海の死、そして賢司さんの病気など、色々重なったから。

決心出来たんだ。



あんな楽しい所から身を引くのは、正直辛い。

もちろん、楽しいだけじゃない。

トレーニングも相当しなければいけないし、俺がサーキットで走行出来る環境は隆道ほど恵まれていない。

移籍の話もあった。

けど、俺にとっては。

このチームじゃないと意味がない。

プライベーターがどこまでワークスに食らい付いていけるか、試してみたかったから。



結果はちゃんと残せたから。

俺の役目は終わったんだ。

あとは祥太郎を育てるだけ。