「そーちゃんの最後のレース、なんだかずっと前のように思えるね」

祥太郎はあの時の写真をじっと見つめている。

「そうだな…」

俺はちらっと見てまた書類に目を通す。

「一つ、聞きたいんだけど」

祥太郎の言葉に俺はため息をついて顔を上げた。

「何?」

「そーちゃんは辞める事に悔いはなかったの?
辞めなければ今年のゼッケンナンバーは『1』だったのに」

その言葉に思わず詰まった。