「拓海、多分これでイケるはずだよ」

GP125はこの最終戦でチャンピオンが決まる。

拓海はそのチャンピオン争いの渦中にいた。

俺のマシンは最高のパートナーでメカニックの淀川 至が調整してくれるけど、拓海のマシンは俺と拓海が2人で調整していた。

拓海がここでチャンピオンを取れたら。

来年か再来年には引退しよう。

俺が拓海専属のメカニックになって、拓海を世界に送り出してやる。

あの時はそう思っていた。

「そーちゃん、ありがとう」

拓海は嬉しそうに笑った。

そしてウォームアップ走行に出て行った。