頭が真っ白だった。
私はあさひを抱いたまま家に帰った…。
専門の病院だもの。きっと良くなるよね。薬だって出してよこしたんだもの。痛いのも治まるよ。

私はこう考えていた。だけどすぐに、私の考えの甘さを痛感する。

薬を飲んでいても、一向に良くならないのだ。
日に日に行動範囲が狭まり、遂には寝室から出ることはなくなってしまった。
痛みや目眩が酷く、立ち上がることすら出来ない。泣いているあさひをあやしたくても、抱き上げる事すら困難になっていた。

悔しくて苦しくて、毎日毎日泣いていた。
もうダメだと想い、私は殆ど絶縁状態の実家に電話をした。
実家とか妊娠を期に、全く関わる事はなく その時から初めて電話をしたのだ。

私の母は病気で既に亡くなっており、父は恋人と暮らしていた。私はその恋人が嫌いだった。
だが、事情を父に話すと「帰ってこい」と言ってくれた。いつも私を利用する為にしか関わらない父が、なぜこんな事を言ってくれるのか、私には分からなかった。
だけど、今の状態ではあさひも私もどうにかなってしまう。私はそう思っていた。

不安な事は沢山あったが、私は実家に帰った…。だが、この選択は間違いだった事に後から気付い