気づかれないように小走りでついていくと、処分小屋の前で3人が止まった。

「・・・ここでいいんだよね・・・」

「早く済ませてもどらないと・・・」

何を言ってるのか小声でよく聞こえないけど、璃良の靴を処分するつもりでいることが分かった。

何でそんなことするの?どうして、どうして・・・
自問しても、理由は見つからない。

倉庫の扉を開け、大きなドラム缶型の容器に靴を投げ入れた後、3人がこちらに戻ってくるのであわてて隠れる。

いなくなったのを確認した後、璃良は靴を探した。

「あった・・・」

10分ほど探して見つけ出した明るい黄色のスニーカーは、くすんだ黄土色の泥をかぶった汚いものになってしまった。
やっぱり、慣れている靴で走った方が頑張れる気がする。


でも、どうして璃良の靴を盗み、処分しようとしたのだろう?
1人の女の子の口から、

「愛ちゃん」

という言葉を発したような気がしたけれど、きっと、気のせいだよね。