「どうしよう・・・、このままじゃ外にも出れないよ。」

「しょうがないから、うちの体育館履き履いて!先生に事情話して、家に代えの靴取りに行ってきなよ。」

美希の言ったとおり、先生に相談して家にあった別の靴を取りに行った。
それにしても、なんでなくなっちゃったんだろう?
今まであの靴で練習してきたから、ちゃんと走れるか心配。


開会式には間に合い、美希の出る100メートル走を応援する。
璃良の隣で、ケンちゃんと藤谷、愛ちゃんも応援している。
あたしが走るわけじゃないのに、美希の分までどきどきしてきちゃった。

「美希ー!駆け抜けろー!ファイトー!」

こちらの声に気づき、ピースをして余裕の表情の美希。

「位置について。 ようい・・・」

スタートのピストルが鳴り響き、一斉に飛び出した。
美希の走る姿は、惚れ惚れするほどしなやかでかっこよくて、速い。
あっという間にゴールテープを切った。