―2限目の休み時間。
俺は瑠璃の席へ行ってノートを机に置いた。
後ろの席の明日美と話していた瑠璃は、静かにこちらを振り返り、ゆっくりと見上げた。
『あ、もういいの?』
いつもの笑顔で微笑む。
もう機嫌が直ったのかと、すこし安心した。
『あ、おう。ぜんぶ丸写ししたからヘーキ。』
『今度から自分で解きなよ?わからないところは、いつでも質問しにきてよ。』
『メンドくせーよ。お前が見せてくれるからいい。』
俺は意味もなく、見慣れた瑠璃のノートを指でトントンとつつく。
『もう、そんなことばっかり。見せてるわたしも、悪いのかなあ。』
すこしむくれながら、セーラー服のタイに目を落とす。