受身を取りつつ、俺は体勢を立て直す。

あの素早さでは竜滅砲の援護は期待できない。

何とか俺一人で奴を仕留めるしかない。

両手で剣を握り締め、強い意志のこもった瞳で牙竜を見据える。

牙竜もまた、荒い息を吐きながら俺を睨んだ。

…あの巨体だ。

足を集中的に攻撃すれば、自重に耐え切れずに転倒する筈。

その隙にとどめを刺すしかない。

そう考えた俺は。

「!?」

突然の銃声に身を硬くした。

振り向くと、ナハトの構えたライフルの銃口から硝煙が上がっていた。

彼女は立て続けに二発、三発と引き金を引く。

放たれた弾丸は全弾命中。

しかし竜滅砲に比べるとあまりに小さな弾丸だ。

そんな射撃など、何の効果もないように思えた。

だが。

「…アキラ…今がチャンス…」

銃口を下げ、ナハトが言った。

見れば牙竜が全身を小刻みに震わせ、苦しげに呻いている。

「アイスラで調合された麻痺薬を弾丸に詰めた物…15分は動きを封じられる筈」