轟音を立てて発射される竜滅砲。

しかし、その砲弾は牙竜に命中する事なく空を切った。

…竜滅砲は高い威力を持つものの、その重量、そして引き金を引くのがゴーレムという事もあり、どうしても命中率が低い。

そして敵が敏捷性の高い牙竜のような魔物である場合、より命中率は下がってしまうのだ。

「このっ!」

俺は素早く振り向く。

ファイアルの民は身体能力に優れる。

動体視力とて例外ではない。

巨体の割に動きのいい牙竜ではあるが、その程度で俺を撹乱する事はできはしない。

背後に回り食らいつこうとする牙竜の攻撃を回避し、俺は恐れる事なく前に出た。

そのまま牙竜の懐に飛び込み、足元を斬りつける!

牙竜とて竜種だ。

硬い鱗に覆われ、並みの剣では刃が立たない。

だが刃竜の角を加工したこの剣は別だった。

牙竜の鱗すらも砕き、その身に流血をもたらす。

牙竜は狂ったように咆哮を上げ。

「うわっ!」

長い尾を横薙ぎに振り回した!

俺はその尾の一撃を反射的に飛び越える。

図体に似合わず、牙竜の動きは素早く鋭いものだった。