俺は背中に背負った剣を抜き、警戒する。

ナハトも立ち上がり、周囲を見回した。

どこから来ても不思議ではない。

神経を集中させ、不意の襲撃に備える。

そして次の瞬間…!

「!…ナハト!」

俺は彼女の肩を抱き、咄嗟にその場から飛び退いた!

同時に巨大な足が、俺達の元いた場所を踏みつける!

「…!」

振り向いた俺達が目にしたのは、大きく裂けた口に鋸状の牙をずらりと並べた、巨大な二足歩行型の竜だった。

間違いない…牙竜だ。

牙竜は感情の欠片も感じさせない眼で俺達を見下ろす。

その眼に宿るのは二つだけ。

目の前に生き物は、食えるか食えないか。

それだけだった。

…ナハトが恐れる事なく魔法を行使する!

瞬時に大地が盛り上がり、巨大な土人形が姿を現す。

ゴーレム。

意思なきその巨人は、ナハトの命令に従い重火器の砲口を牙竜に向けた。

「竜滅砲…発射…!」