しっかりと俺が捕まったのを確認すると。

「出発する｣

エンジン音にかき消されて聞き取れないほどの声でナハトが言う。

次の瞬間。

「！？」

振り落とされそうなほどの加速と共に、自動二輪は走り始めた！

まるで早馬。

凄まじい速度で、砂塵を上げながら自動二輪は疾駆する。

こんな速度、俺は体験した事がない。

ナハトに捕まるのが恥ずかしいとか、そんな事はあっという間に頭の中から消え、俺は無我夢中で彼女にしがみついていた。

そんな俺に、操縦しながらナハトが言う。

「まずは刃竜を仕留めに行こうと思う…一番肝心な刀身を、最初に入手したい…｣

確かに。

刀身は剣の命とも言える部分。

そして刃竜の素材で造られた剣は、この世界のどの土地でも高値で取引されるほどの上物だ。

どんな金属を加工して造った剣よりも、その切れ味は高いという。