ナハトがその自動二輪にまたがり、ハンドル近くのボタンを押す。

同時に爆音。

低い音を立て、自動二輪のエンジンが始動した。

まるで大型の魔物の唸り声のようにも聞こえる。

こいつは馬力がありそうだ。

「アキラ」

ナハトが振り向き、自分の乗っている自動二輪の後部シートを叩いた。

後ろに乗れという事らしい。

「わ…わかった」

言っておくが。

別に俺は怖い訳じゃない。

ドーラの乗り物に乗るのが初めてだから、少し緊張しているだけだ。

強張った顔のままナハトの後ろに座ると。

「しっかり捕まってて」

彼女は俺の両手を自分の腰に回す。

「…っ…」

只でさえ露出の多い格好のナハトの腰を掴むなんて、何だか赤面した。