「昨日の酒場での話は聞いてるぜ?ドーラの環境汚染が原因で新種の竜が生まれたんだって?」

ハン、と。

店主は鼻を鳴らした。

「はっきり言わせて貰うとザマァミロだ。科学の代償に自然を汚して、その結果がそれだろう。なのに何でその魔物退治に俺達火の民が手を貸してやらなきゃならん?」

「何だと…!?」

店のカウンター越しに店主の襟を掴もうとする俺。

だけど。

「アキラ、やめて…」

ナハトは俺を制した。

そして俺とナハトの武具、その代金だけをカウンターに置き、そそくさと店を出る。

…確かに冷静に考えれば、店主の言う通りなのだ。

ドーラの連中の考え無しの行動で、汚竜は誕生した。

つまり自分で撒いた種だ。

その尻拭いを、どうして火の民がしなければならないのか。

言い分はわかる。

でも…。

俺は店主をひと睨みして、やり切れない思いで店を出た。