どうやら母も来ているらしい。

「お宅の娘さんはもしかするとものすごい力を持っているのかもしれません」

言葉に波長のない医師の言葉に声もなく驚いた。

「力?」

母がメアリーのかわりに聞いた。

「力…というべきか魔力というべきか」

少し迷いのある台詞に母はいらだったのだろうか。

「その力とは?」

うなっている医師の言葉をかき消すようにいった。

「ええ。いわゆる超能力ですかね。ものに手を触れずに思い通りに動かすことができる力です。はっきりとは言い切れませんが。」

「原因は?」 

「何か大きな衝撃を受けたなどでしょうか。」

その言葉にはっとした。

去年の事故だ。

あのせいなのか。 

「ええ…たしか去年だったでしょうか、トラックにひかれて…」

「そのような衝撃があると体に力が芽生える可能性があるんです。ですが、本人がその力を使おうとしなければ害はないのでしばらく様子を見て下さい。」


「…ハイ…」