クルーに押され、富田とマシンがピットへ戻る。
残っていた岡崎が出迎えた。
「富田…」
「あんまりだ!」
富田はヘルメットとマスクを外し、床に叩きつけ座り込んでしまった。「チクショー、また表彰台を逃してしまった!」
誰に言うでもなく、悔しさを口にした。
岡崎が隣に座って言った。
「勘弁してくれ。俺のリーダーとしての至らなさだ…」
目を真っ赤にして富田は応えた。
「いえ、岡崎さんに責任がある訳じゃありません。…ただ…」
富田は顔を下げた。
「隼人が〜。だな。どう考えても」
岡崎は溜め息を吐いた。そして言った。
「監督と俺とで厳重注意しておく」小早川が口を挟んだ。
「アレー、そんなんあり?。ただ雨に弱いって弱点がもろに出ただけじゃないの〜?」
「何を言う、コバ!。隼人にばかりひいきし過ぎるぞ!」
「でも〜、現に審判からのクレームも出てないよ」
ハッとする富田。「しかし、俺の指示を無視したのは事実だ。警告しておく」
高田が監督としての威厳を持って発言した。
小早川が下を向いて、ブツブツと独り言を呟いている。
「あ、ホラ、隼人さん戻って来ましたよ」
鈴木洋一が言った。