間もなく富田のマシンが入って来た。
「行けそうだな。頑張れ」
岡崎が語りかける。
「ええ〜、でも〜」
言わんとしていることは、充分、岡崎は認知していた。雨…。
「恨めしいな…。全く…」
岡崎は続ける。
「優勝してみたい」
と、呟く富田を励ますのが人情か…。
「大丈夫だ。後ろにコレだけ差をつけていたら勝てる!」
タイヤ交換が終わった。
「行け、勝てる!」
再びコースへ戻り走り始めた富田を、岡崎は心配そうに見ていた。
続いて隼人のマシンが〜ピット前を通過していった。皆、唖然としている。
「隼人。タイヤ交換はどうした」
高田監督が無線で問い掛ける。
「万全です」
「大事をとれ」
「ご心配なく。最高のタイヤをスポンサーが提供してくれました」
無線のやり取りを聞いて岡崎が怒った。
「なんてヤツだ!。俺達は何だ!」
「ただのボランティア〜」
と、小早川隆が言う。
「冗談だろう、コバ…」
岡崎に小早川が応える。
「結果オーライになるって。アイツは天才」
「そんな問題じゃない!。一つのチームなんだ!」
「だから、貢献するって隼人は〜」
「よせ。今はレースの動向に専念しろ。この件は後だ」
高田監督が言った。