「……皆の、総意だ」



ランスは扉を開けると、去り際に捨て台詞を吐きながら、執務室を後にする。



「裏切る気か……。許さんぞ……、ランス」



鬼人は憎々しげな目つきで扉を睨み、ボソリと名を呟く。


どちらに正当性があるかはわからないが、関係は解消された。


もともと人間の繋がりとは、組織や集団の中の、肩書や上下関係による結び付きであろう。

その内でソレを無視すれば、人の集まりに相応しくない、異端児だといえる。

そのように適応性がないのならば、群れから離れるしかない。


もっとも、離れた人間に肩書や上下関係は、通用しないだろう。



権力は、絶対的な力ではないのだ。