一方の、椅子に腰掛ける男性。


黒い長髪を後ろで結い、東洋人的な顔立ちのその男性は、凛々しく整った顔を鬼の形相に変えて、立ち上がった。


「……っ!?」


冷静沈着を守り、立っていたロインもさすがに怯える。



『ズバァァンッ』



「~ッ闘兵衛めっ!!」



男性は叫び声と共に、抜き放った太刀で机を真っ二つに切断した。

怒りに任せた行動とはいえ、並々ならぬ腕前である。


男性の名は、鬼人―


鬼人と、闘兵衛―


互いに名前を叫び合ったとは、思ってもいない。


今、運命は、お互い天敵である事を決定づけるのであった。