「……ハメます」


皐月は闘兵衛の了承も得ずに、左腕と左肩を両手で掴むと、声を掛ける。


そのまま鈍い音と共に、闘兵衛の左肩は接合していた。



『ゴリンッ』



皐月が脱臼の整復術を使える事は忍として当然なのだろうが、いかんせん強引な治療である。


しかし、闘兵衛に激痛が訪れているハズではあったが、呻き声すら漏らさずに一言だけ呟く。



「……禁、は?」



「我々が、来た時には、もう……」


皐月は闘兵衛の短い質問に、沈痛な面持ちで言葉を濁すのだった。