どれだけ這ったかわからないが、禁は上半身だけを壁に寄り掛け、空中に右手を伸ばす。



「こ、怖い……。死にたくナイよぉ……」



残された右眼には光も失われ、空中を掴もうとする手もさだかでは無い。


嘘で塗り固められた人生に、死という現実を叩き付けられた禁は、ただただ恐怖する。



「痛ぃょ、父さん……」



禁が力無く呟くと、右腕はゆっくりと床に落ちるのだった。