誰もいなくなった広間には、徐々に死に近付く禁しか残っていない。


天井を眺める禁には、乱れる呼吸を続ける事しか残されていなかった。



「……ヒュー……」



肺にまで達した傷が、音を奏でる。


血の泡と共に空気の洩れる音が、笛のように鳴り響いた。