「……そうか」


呟くように返事をし、禁は無表情のまま、その場を立ち去ろうとする。


「キン様……、お待ち下さい」


「……」


呼び止める為にトゥルウは禁の背中に、声を掛けた。

禁は振り返らず、足だけを止める。


「それでも貴女は、僕にとっての勇者です。だから……」


その言葉と共にトゥルウは、手を差し出す。


「これを、受け取って下さい……」


「っ!?」


トゥルウの手に握られた品物を見て、振り向きざまに禁は驚いた。