「前門の虎に、後門の狼か……」



暗闇からその姿を現わしたジェノスは、己の小剣を弄ぶように手を架けながら、現状を呟く。



「どちらにせよ相対するならば、全てを駆逐するのみ……、ネ?」


「では、決まりですね?大聖堂まで案内いたしましょう……」


獲物を見つけた野獣の如く、ジェノスは整った顔を歪ませ、唸り声のように呟いた。

ルソウは無表情でソレを無視し、先を急がせる為に、声を掛ける。


「アンタ、若いわりに胆が座ってんな?御子息と年齢は、たいして変わんねぇんだろう……?」


銃佐ェ門はルソウの変身振りに感心し、トゥルウと見比べ、問い掛けていた。