「……先ずは、建国にあたっての我が軍の、役職の辞令を下そうと思う」
鬼人は全員を見渡すと、言葉を発する。
建国と言いながら、その規模を軍として留めた処が、鬼人の計略であるといっても、過言ではなかった。
つまるところ、内政に関しては現幹部に期待していないのだろう。
ただ、そういう意味合いを理解している人物は、ロインだけであった。
「では、鬼鴉の副将から参謀を務める事となりました、私、ロインが司会進行させていただきたいと思います」
ロインは立ったまま深々と頭を下げると、さらに続ける。
「……皆様にはすでに御紹介いたしましたが、新たに鬼鴉に参加して頂いた鬼人様の妹君、闘華殿には親衛隊、副隊長の職を与えます」
「親衛隊、副隊長の任、承りました」
闘華は、ロインの言葉を復唱すると一枚の辞令表を受け取った。