また、歩を進め出す二人ではあるが、鬼人は小声で呟く。
「……蛮族共の件、闘華を入れてみるか……」
「!?」
鬼人の独り言にロインは驚き、その後ろ姿を凝視する。
「闘華は、どうした?」
突然、鬼人は振り返り、ロインに問い掛けた。
「っハイ、先程会議室へ案内しましたが……」
ロインは一瞬驚いたが、すぐに返答する。
鬼人という男は、人を驚かす事に関して秀でているようで、ロインはたびたびその予期せぬ発言や行動に、付き合わされてきた。
もっとも、そういった類のモノが、人の上に立つ器であろう。
「そうか……」
鬼人は一つ納得の声を漏らすと、会議室へと続く廊下を進み始めたのだった。