「いえ、似ているというか……。説明しづらいんですが、存在感、と言うモノでしょうかネ?」


闘華は微笑みながら曖昧に、返答する。


「?」


さらに首を傾げ、ロインは沈黙していた。




ロインが予想する模範解答は、ソレを上回る答えによって掻き消される。


人間は自分の範疇を越えるモノに出合った時に、混乱し思考を止める生物だ。


予想内、想像通りなら、人はどんな事にでも対応できる。


だからこそ、ある一定の範囲内で満足している人は、ソレが限界なのであろう。



準備万端と臨機応変は、対極に位置しながらも、その根本は同じといって過言では、ない。


そしてその全ては、今まで経験した人生が厚みを持たせてくれる。


若かろうが、老いていようが、濃厚な時を経験するのは、どれだけ修羅場を潜ったかによるのだった。