「分かった」


鬼人は短く頷き了承の言を発すると、扉の側まで歩を進める。



「そう言えば……、お前の仲間は何者なんだ?」


扉の前で、鬼人は思い出したかのように、桃華に問い掛けた。



「……仲間?」


桃華は瞳を見開き、掛けられたその言葉を呟く。



長崎へは一人で来たのだから、仲間など、いないハズであった。


心乱れ、バラバラになりそうな精神状態を繋ぎ止める、疑問。



「無手で、私の部下を倒す程の男だ。侍では、なかったが……、ナ?」


興味と感心が入り交じった口調で、鬼人はさらに続ける。


「お前に「約束は守る、と伝えろ」と、言われたんだが……。一体、何者なんだ?」


呆然とする桃華に、鬼人は問い掛けた。