ブレイドの突然の介入により、起こりうる激戦は回避される。



「……」


紅拳はチラリと闘兵衛に惜別の視線を送り、諦めたかのように黒船に向き直し、大地を蹴り駆け出す。


海と紅拳との距離がグングンと縮まっていくのだが、その速度は変わらない。



そして、紅拳は跳んだ。



海上に浮かぶ小船を足場に、海を渡る。


一隻、二隻、紅拳は落下の反動と跳躍で空を翔けるように海を渡り、最後には黒船にぶら下がる縄を掴むと、甲盤へと駆け上がるのだった。