闘兵衛は右拳を眼前に上げると、左拳を胸の前、両脚を肩幅に広げ、戦闘体勢をとる。



「女でも……、容赦しないゼ?」



「そんなモノは、海にでも流すがよい……」



紅拳は闘兵衛の高圧的な威嚇の言葉に淡々と返答すると、腹部の前で両手を広げ構えるのだった。




黒鬼はなんとか意識を取り戻すと、鬼人と合流を果たす。



「ここは、紅拳殿に任せておこう……」


鬼人の言葉に黒鬼は小さく頷くと、海上に浮かぶ数隻のウチの一つの小船を押し出した。


桃華は鬼人の肩の上で横たわり、ピクリとも動かない。


おそらく気を失っているダケなのだろう。でなければ、死体を運ぶワケもなかった。