「……貴女でも、相手はしたく無い?」
興味本位か、ジェノスは紅拳に尋ねてみる。
返答の替わりか、紅拳は無言で右手の掌を木製の樽に当てていた。
『ボンッ』
特に力を加えたワケでも無いのだが、木製の樽が音を立て破壊される。
「「っ!!?」」
まるで魔法のような出来事に、ジェノスとランスが驚愕した。
「身体の捻りと連動と、呼吸……、とでも言っておこうかしら?しかし、黒鬼殿の肉体には、通用しないカモね?」
紅拳は掌を見つめ、淡々と口を開く。
「……大したモンねぇ」
流石のジェノスも、感嘆の声を上げたのだった。