「少々……、口が滑らか過ぎるのではないかな?歴戦の、傭兵隊長殿」


赤い道着、中国の武道家のような恰好をした女性が、ドアの入り口に立っている。



「コ、コウケン……」



ランスは自分を目覚めさせた女性の名を呟くと、慌てて右手で口を塞ぐ。



「……コウケン殿、貴女もクロオニ殿について何か知っているなら……、アタシに、ご教授して頂けないかしらネ?」


ジェノスはどこ吹く風と言わんばかりに、笑顔を浮かべながらコウケンと呼んだ女性に話しを振った。