自分に害がかかるとわかった時ほど、である。


「アレは修羅。ヒトが強さを求めた結果の行き着く場所であり、辿り着いてはいけない境地……」


黙々と、闘兵衛と鴉について評価をする紅拳は、眉間に皺を寄せていた。



「その先には、生物としての死しかない……」



紅拳は苦虫を噛み潰したような表情で、ヴォルトに答えるように声を発する。


もしくは己自身への説明であったのかもしれず、ジェノスは一瞬だけ伺うようにして、紅拳に視線を送った。