『ビョウッ』 闘兵衛の拳が一閃し、鴉の顔面が裂ける。 鴉の懐にまで入り込んだ闘兵衛が、攻勢に転じていた。 下方から右拳による突き上げを、鴉は寸前で避けていたのだが左の顎から頬にかけて、ザックリと裂傷が走る。 まともに当たれば、顎が砕けただろう。 その恐怖を意にもせず、鴉は、右手に持つ太刀を闘兵衛の首に宛てがう。 闘兵衛の間合いであるにも拘わらず、鴉は攻撃の手を緩めようとしなかった。