鴉の斬撃は、単純に二刀を使った攻撃とは違う。


それぞれが意思を持つような、動き―


双頭の大蛇が鎌首をもたげ、獲物を喰らい尽くすような、獰猛性―


波状攻撃を思わす斬撃であったが、闘兵衛はコレをよく避ける。


半分は両腕の鉄甲で、もう半分は神速の体捌きで防いでいた。


火花を散らしながらも、要所要所で、両拳による反撃を放つ。


その拳を、鴉もまた絶妙に避ける。


闇に溶け込むように、空を打つ拳―


人間の領域を逸した闘いは、不協和音を奏でながら渦を巻いていた。