『ドオォォォォンッッ』 銃声が、聞こえる― 銃佐ェ門は、皆を島から逃がしてくれたようだ。 随分と無茶な頼み事をしたものだが、コレで後方を気にする必要もない。 (それにしても……) 闘兵衛は、黙して動かない鴉に視線を送り、思案を巡らす。 まさに謎ではあるが、考えられる事は、一つ。 闘兵衛が、その気になるのを待っている。 鴉の放つ雰囲気が、殺意が、物言わずとも雄弁にそう感じとらせていた。