だが桃華と鴉の間合いが離れ、刃の交わる音が止まる。 「……っ」 恐怖で引き攣った表情の桃華が、呼吸を調えていた。 次弾を装填する銃佐ェ門と連携するように、皐月は大太刀を振りかざし、鴉に斬り掛かる。 『ビョウッ』 大太刀による風切り音と共に、皐月の連続攻撃が鴉に放たれていく。 だが、ヒラリヒラリと、外套を揺らしながら、まるで風に舞う和紙のように、皐月の斬撃を容易に鴉は避け続けていた。