「戦艦は、やはり親衛隊の手に渡ってしまったのか……?」 菩薩のような表情で不意に呟いた鬼人は、ロインに視線を送る。 「……残念ながら」 ロインは眼を綴じ、沈痛な表情で答えた。 新造戦艦― 鬼鴉が海への勢力を拡大する為に製作していた、戦艦である。 しかし、親衛隊の離隊時に強奪され、鬼鴉は足を失ってしまい、組織としての行動もとれなくなっていた。