「……」 黒鬼は洞窟から外に出ると、無言で空を仰ぐ。 日中とはいえ灰色に濁った曇り空は、鬼鴉に降り懸かる暗雲そのものであるように思えた。 ナニか解決の糸口が掴めると思いここまで来たのだが、現実を見せつけられた黒鬼は、少なからず落胆する。 黒鬼は無造作に懐に手を入れ、硝子でできた容器を取り出した。 その容器には液体が入っており、ただ静かに揺れている。 (人外なる力……) 黒鬼は容器を懐にしまうと、覚悟を決めた。