「何故?」 「……アレは極めて異質な、禁忌なる存在。戦場以外の場所では、人に害が及ぶ」 腫れ物でも触るかのような口ぶりで、黒鬼は死神を説明していく。 「もっとも……、アレを縛る事など、何者にもできんが、な?」 紅拳から問い掛けに対して、黒鬼はそのまま自分に言い聴かせるように答え、扉を開ける。 「……フン」 鼻を鳴らし、紅拳は黒鬼の背中を見送った。