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 路地裏実態調査とは、平たく言えば簡単な不良掃討である。学園に入学したものの、成績が伸びなかったりやる気がなくなったりつまらなくなったりと、様々な理由で登校を拒否しあちこちの地区の路地裏にたまるようになった少年少女らを(地域のため)本来いるべき場所に返すのが目的である。この調査兼掃討は各地区の学校の生徒会、及び教師らで行われ、この商業区は普通高等学区に属するので普通高等部の生徒会によって行われる。
 アズラクは普通高等部生徒会副会長であるがため、(ほとんどパシリの意味で)ここに駆り出されている。もちろん、気の弱い彼にそんな芸当は出来るはずもなく、仕方なく麟紅が付き添っているわけである。

「はぁ、今さらだが俺も運のない男だ」

「そ、そうかな……?」

「お前に捕まった時点で運が悪いっつーの。しっかしこの辺の不良(わる)どもももういねぇんじゃねぇのか?」

「い、いや、行ってこいって言われた以上行かないといけないんじゃないか、な……?」

「知るか! 俺に聞くな!」

「あうう、ご、ごめん!」

「……そんな全力で謝るんじゃねぇよ……」